張ってるなー。と。
もう、帰れる見込みもないし、内診も2週間に1回しかないから、既に張ってるかどうかとか、興味なくなってしまった、
生まれる前から親不孝な胎児。
生まれる前からネグレクトな妊婦。
壁が薄い。
隣の個室のいびきで夜中に目覚めた。刺し変えた点滴はずきずきするし、手はむくむし、眠っている意識のない間が1番幸せ。
というか、エレベーターの近くの個室だから、絶好の井戸端会議スポット!電話とか、立ち話とか、丸ぎこえでうるさい(○`ε´○)=3こっちのトイレ音も丸聞こえなんだろうなぁ。(>_<)
朝7時過ぎから、夜9時過ぎまで、お隣りにひっきりなしにおめでとうの来客が来てた。
母子無事でおめでとうとは思うけど、自分の親でも、子供に黄色い声出したりするとうんざりなので、他人ならなおうんざり。顔がしっかりしてるとか、1番かわいいとか、脚が長いとか、ちょっと笑えるけど。
研修医の時に新生児室の採血担当してて、一度に20人くらいの新生児見た日もあったけど、かわいかったのは一人しかいなかったなぁ。少し貧血気味で、3000ちょっと超えてて、生後数日の適度にぽよんとした子。
他は赤黒くて...動物園の猿みたいで動きは可愛い部類。
新生児の時から、美貌の差は出るんだなぁー、としみじみしたなぁー。
もちろん自分の子も、生まれた時、可愛いってならなかった!こんなもんかなぁー、みたいな。可愛い子と取り替えたいとも思わなかったけど。
壁一枚隔てた個室で、一方は出産を喜び合い、一方は明日すらわからず不安に震える。
産婦人科とは、そういう場所だ。
そういう場所なんだ。
研修医の頃、仕事帰りに大学病院を見上げながら、悲しい気持ちになったのを思い出した。
ガンの患者を担当してた頃だ。
キラキラしたたくさんの病室の明かりの先に、患者、家族、たくさんのひとの哀しみや苦しみ、願いにも似た小さな希望が透けて見えたような気がして、苦しくなった。
学生実習の時にフルメイクはやめたけど、その頃から、さらにポイントメイクも薄くなった気がする。
必死に頑張ってる患者の前で、着飾ることが、医者として不適切だと、何となく思った。
そのまま今度は忙しくなって、人がめったに死なない科に入っても最低限メイクになってしまったのはただの手抜きなんだけど。
でも、やっぱりきれいにしてる女医は眼科、皮膚科、形成、美容、麻酔科、暇な内科、保健医、研究生だと思うけど。
時間もあるし、死にそうな患者も少ないし。
あと、弱ってる患者を前にしてフルメイク曝せるほどメンタル強い人、出会い探しに必死な人も(・∀・)
都内とかで、来る患者を選べる病院は、みんなきれいにしてるけど!
なかなかストッキング女医になれなかったなぁ。バタバタしてる靴下女医だったなぁ。